よい母乳とお米
福田 美幸(ふくだ・みゆき)さん(庄内町綱分)
(診察室に入ると、母親の胸に抱かれた乳児の姿。乳首を口に含んだ乳児は、安心しきった表情で母親と目を合わせていた)
―なんとも神々しい光景ですね。
おっぱいを飲むことは、単なる赤ちゃんの栄養補給ではありません。
おっぱいを通じて目、口、耳など五感を使い、新しい世界を認知する行為なんです。
そこで問われるのが、おっぱいの質。
おっぱいがおいしくないと、赤ちゃんはいやがって飲みませんし、乳首をかんで抗議したりします。
それが夜泣きやぐずぐずの原因にもなるんですよ。
―そうなると、母親もいらいらしてきますね。
そう、おっぱい次第で、育児は楽しいものにも、つらいものにもなるんです。
でも最近のお母さんのおっぱいには問題が多い。
原因は食事です。血液が乳房にある乳腺房で白く変化し、それが細い管を通って乳首から出たのがおっぱい。
でも、今のお母さん方の食事は肉中心の西洋型が多いから、脂で管が詰まることが多いんです。
そうなると、乳房の中に古いおっぱいがたまってしまい、乳質が劣化して、赤ちゃんが嫌がるまずいおっぱいになる。
これが俗にいう「たまり乳の腐れ乳」です。
マッサージで乳房の底の部分をもみほぐすと、乳首の先から白い脂肪の塊がにゅっと出てくる場合もあるほどです。
―そうならないためにはどうすればよいのですか。
穀物や豆、野菜、海藻など日本型食生活の実践です。
それができれば、ほとんどの人が三時間おきに、泉のようにおっぱいがわきでてくるようになります。
人間の脳が驚くべき速さで成長する幼年期。
なかでも最初の一年は特に重要で、おっぱいの質がその後の人間形成を左右するといっても過言ではありません。
私たち助産婦が、育児休業制度や妊婦への支援制度の充実を訴えるのも、そのためなのです。
赤ちゃんが喜べば、お母さんはもちろん、周囲もうれしくなります。いいおっぱいを出して、楽しく子育てしてほしいですね