ふらりと立ち寄った本屋さんで、佐藤さんの詩に出会いショックを受けました。

佐藤初女さんは、青森県の弘前にお住まいで、岩木山の麓に「森のイスキア」という心と命を感じる施設を建て、そこを訪ねる方々を心のこもった料理でもてなしています。
「食べることはいのちの移しかえ」と国内外で「おむすび講習会」や講演活動を続けている。

初女さんの作ったおにぎりを食べたことで自殺を思いとどまった人がいます。見た目はのりで包まれた丸くて何の変哲もないおにぎりです。おにぎりの中身は梅干しですから、これもけっして特別のものではありません。握り方も、指先ではなく手のひらを使うということが彼女の特徴ですが、それほど特殊だとは思えません。

「おむすびを作るときは、お米の一粒一粒が息ができるようにと思って握ります」
初女さんの言葉です。
だから、ぎゅっとは握りません。お米が苦しくなってしまうからです。
一粒の米の命にさえ心を配る初女さんの思いが、おにぎりを通して、食べる人に伝わります。

一粒の米は、一人ひとりの人間に重ね合わせることができます。ともに取るに足らないちっぽけな命のように見えるけれども、こんなにも大切にしてくれる人がいると思うと、涙が出るほどうれしくなってきます。そして、「一粒の米が集まっておむすびになり、それを食べた人に生きる意欲と勇気を与えることができる」という感動的な話は、こんな自分でも何か役に立てるかもしれないという希望にもつながってきます。

”いのちをいただく

今朝も ふっくらおいしそうに
炊き上がった
ごはんが 輝いている
一粒一粒が 呼吸している
毎日はおろか何十年も
食べているのに飽きもせず
食べるたび新鮮な気持ちで
味わえる幸せを
かみしめ今日も感謝で生きる
佐藤 初女 ”

 

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